カジノルール&マナー

年齢制限

カジノへ入場できるのは 21才からだ。とは言っても入口のドアは開きっぱなしの上、入口に年齢をチェックする係りの者が特にいるわけでもなく、現実には子供でも入場できてしまう。

事実カジノ周辺に子供向けのゲームセンターがあったりすることも珍しくなく、カジノ内で子供を見かけること自体はごく普通の光景だ。

しかしながら未成年者らしき者が実際にプレーしている場面を見ることはまれで、とりあえずこのルールはきちんと守られている。理由は簡単だ。未成年者のプレーを見逃したカジノは当局から厳しく罰せられるため、カジノ側がきちんと監視しているからだ。 なお東洋人はとかく若く見られがちなため、紛らわしい年齢層の者はパスポートなど年齢を証明できるものを持参して行った方がよいだろう。
25歳未満の日本人ならば、ディーラーに年齢証明の提示を求められる可能性が非常に高い。また、スロットマシンなどでも定期的に未成年者のプレーを取り締まるためのスタッフが巡回している。

服装

ヨーロッパのカジノと違い少なくともラスベガスのカジノにおいては、Tシャツ、ジーパン、タンクトップ、なんでも OKだ。ただし裸や裸足は注意されることがある。

トロピカーナホテルのようにプールで水着を着たまま水中でプレーできるようになっているカジノもある。とにかく服装に関してあまりかしこまる必要はまったくない。

両替

■ チップと現金の等価性 ■

ここでいう 「両替」 とは、日本円から米ドルへの交換という意味ではなく、現金 (ドル) からカジノ専用チップ ( Chip ) への交換だ。
ラスベガスのカジノにおいては、現金とカジノ専用チップは (以下 「チップ」 と呼ぶ ) 価値的にまったく等価だ。

つまり交換の際に手数料のようなものを取られることは一切なく、交換による目減りはまったくない (ただし非米国居住者が、スロットマシンなどで $1200 以上の高額配当を受ける際は税金を差し引かれる)。

したがって、$100 の現金をチップに替えれば $100 のチップになるし、同様に $100 のチップは $100 の現金に交換することができる。もちろんいつでも何回でも交換でき、また最小限度額のような制限もない。つまり、現金とチップの等価性は完全に保たれており、日本のパチンコ店における玉と現金の関係とは基本的に異なる。

また現金とチップは機能的にもまったく同等に扱われている。つまりルーレットであろうがブラックジャックであろうがチップの代わりに現金紙幣をテーブルにおいてプレーしてもまったくかまわない。また、カクテルウェイトレスへのチップ (TIP) をカジノチップ (Chip) で支払うこともできる。(かつてはレストランの支払いや宿泊費の精算もカジノチップで行うことができたが、近年は当局からの指導などもあり、それができなくなった)。

いずれにせよ現金とカジノチップは価値的にも機能的にもまったく同等であることをよく覚えておきたい。 「覚えておきたい」 とあえてここで強調した理由は、プレーに夢中になってくるとチップが現金に見えなくなってしまうからである。チップが単なるオモチャのコインにしか見えなくなってきたら要注意だ。

■ ゲーム開始前の両替 ■

両替のタイミングと場所だが、基本的にはそのゲームを始める際にそのゲームの現場で両替することになる。つまりルーレット、ブラックジャック、クラップス、バカラなどテーブルゲームの場合はディーラーに現金を渡してチップに交換してもらう。

現金を差し出すだけでその意思は伝わるので何もむずかしいことはないが、賭金を置くべきスポットにその現金を置いてしまうとその現金を全額次のゲームに賭けてしまうものと勘違いされかねないので、紛らわしい場所には置かないようにしたい。

なおこの両替の際、現金をディーラーに直接手渡しで渡そうとしてもディーラーはその現金を受け取ってくれない。カジノでの現金およびチップ ( Chip ) の受け渡しは 「手から手」 ではなく 「手からテーブル、そしてテーブルから手へ」 という大原則があり、ディーラーは客の手から直接お金やチップを受け取ることは許されていない。したがって両替の際は現金を手渡しで渡すのではなく、テーブルの上に置くようにする。

このルールの意味は、いくらの紙幣だったのか、何枚の紙幣だったのかを客観的にわかるように公開する目的と、その受け渡し現場が天井のモニターカメラにおさまるようにするためである。さらに高額の両替の場合は (原則として $100以上の両替はすべて)、ディーラーはピットボスと呼ばれる上司に (通常ディーラーのすぐ後方にいる)、テーブルに置かれた紙幣の金額の再確認を求めてから両替作業を進めることになっている。これはディーラーの家族や友人がそのカジノに遊びに来て、$20 紙幣を差し出したのに $100 分のチップを渡してしまうような社内不正をけん制するためのルールで、まさにフェアプレーを追求するラスベガスならではのすばらしい精神だ。

■ ゲーム終了後の両替 ■

次にゲームが終了したあとのチップから現金への両替だが、これはゲームの現場ではやってくれない。なぜなら現金を置いていないからである。

ちなみに最初に両替した際の現金はテーブルの下に据え付けられたドロップボックスの中に落とし込まれてしまっているためディーラーといえどもそれを取り出すことはできない。したがってチップを現金に両替する際は 「カジノキャッシャー」 などと書かれた両替窓口へ行くことになる。もちろんここでも黙ってチップを差し出すだけですぐに現金に交換してもらえるので、言葉の問題など何もむずかしいことはない。ときどき 「100ドル札がいいですか? それとも細かい 20ドル札がいいですか?」 などと話しかけられることがあるが、聞き間違えたところで大きな問題はないので適当に答えておけばよいだろう。

なおルーレットの現場を離れる際は、そこのルーレットテーブル専用の色チップをすべて一般のカジノチップに交換してもらってから席を離れる必要がある

またブラックジャックなどのテーブルを離れる際、ディーラーから、複数の小さい額面のチップを大きい額面のチップに交換してから席を離れるように言われることがある。たとえば $5チップを 23枚を持って席を離れようとすると、そのうちの 20枚は $100チップ 1枚に取り替えるように言われる。これは客にとって持ち運びが楽になるということもさることながら、そこの現場では引き続き少額のチップがたくさん必要なためで、必ず指示に従うようにしよう。

■ チップの種類と色 ■

区別しやすくするために、各チップは額面によりそれぞれ異なった色になっている。そしてその色分けは、ラスベガスのカジノではどこのホテルもほぼ共通になっているので覚えておくと便利だろう。
一般的に赤が $5チップ (右の写真内の上段右)、緑が $25チップ 、黒が $100チップ となっている。

その他、むらさきの $500 や 黄色もしくはオレンジの $1000 、さらには通称 "チョコレート" と呼ばれている茶色の $5000、そしてハイリミットセクション (高額の賭け金を受け付けているセクション) でのみ見られる $25,000 チップ (一般的にはオレンジ色。$1000チップよりもサイズが一回り大きい) などもある。なお、上段中央の白いチップはそれほど多く見かけるものではないが、端数が出やすいクラップスなどでしばしば使われる $1 チップだ。
ちなみにこれらチップは材質的にスロットマシンでは使うことができず、スロットマシン用には金属製の重いコインが用意されている。

このように標準化された色分けが定着しているため、カジノ内では各チップを額面の代わりに色で呼んでも意味は通じる。
たとえば現金 $100をチップに交換する際に 「 All Red Please ! 」 と言えば $5チップを 20枚くれる。同様に 「 All Green Please ! 」 と言えば当然 $25チップ 4枚ということになる。何も言わなければ $5チップ 10枚と $25チップ2枚くれるのが普通だ。ただしそこのテーブルのミニマムベット(最低賭金)が $3であれば数枚の 1ドルチップも混ぜてくれるだろうし、逆にミニマムベットが $25であれば黙っていてもグリーンチップ 4枚ということになる。

MINIMUM BET(最低賭金)

「ミニマムベット」 とは読んで字のごとく 「最低賭金」 のことで、そのゲームを1回プレーする際に必要な 「最低賭けなければならない金額」 のことである。

この数字は各カジノ (ホテル) によって異なるだけでなく、同じカジノの中でもテーブルによってまちまちだ。一般論として高級ホテルの方が二流ホテルよりもこの数字を高めに設定する傾向にある。

具体的な数字を例にあげて説明するならば、たとえばブラックジャックの場合、ストリップ地区の高級ホテルではそのホテル内で最も低く設定されているテーブルでもこのミニマムベットの数値は通常 $5だ。(最近はインフレ気味で、$5 のテーブルを見つけるのはむずかしくなりつつある)

したがってもう少し小さな金額で遊びたいという者はダウンタウン地区のカジノへ行くか、ストリップ地区でも北側の地域 (具体的にはサーカスサーカス、サハラなど) のホテルに行くしかない。それらの地域のカジノでは $3程度から遊べるブラックジャックテーブルが用意されていることがある (最近は減りつつあるが)。サハラなどは一時期 「ミニマム$1」 を売り物にしていたこともあるが、最近は消えてしまったようだ。

ルーレットとクラップスについてもほぼ同じことが言える。ただしルーレットやクラップスの場合は 1回のゲームで複数の場所に賭けることができるため、そのミニマムベットの表現方法も多少異なってくるので注意が必要だ。

スロットマシンに関してはその機械によって投入コインの種類が決まってしまうため、特に 「ミニマムベット」 という表現は使われていない。ただ単に 「25セントマシン」 とか 「1ドルマシン」 とかいう呼び方をする。(最近はコインレスマシンが増え、最低単位を客が自由に決められる 「マルチデノミマシン」 も出現している) ちなみにストリップ地区の高級ホテルにも 5セントマシンは置かれている。もちろん高級ホテルになればなるほど 5セントマシンの台数比率は下がり、25セントマシンや 1ドルマシンの比率が相対的に高くなってくることは言うまでもない。また一部の高級ホテルには 25ドルマシン、さらには $100マシン、$1000マシンなど超高額マシンも存在する。

なお、コインレスマシンの普及に伴い、1セント単位のマシンも見かけるようになったが、これは 1セント刻みで賭けることができるというだけであって、実際には一度に数十枚賭けるのが普通で、本当に一回につき 1セントでプレーする者はまずいない。